その息切れ、
単なる加齢だと思っていませんか?
COPD(慢性閉塞性肺疾患)― 疫学から早期発見まで
COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは
タバコ煙を主とする有害物質に長期に曝露することにより生ずる肺の病気です。呼吸機能検査で気流閉塞を示し、この気流閉塞は末梢の気道病変と肺気腫が複合的に関与して起こります。
主な症状
- 動いたときの呼吸困難(主症状)
- 長びく咳嗽や喀痰
- 軽症では自覚症状に乏しいことも多い
患者数の現状
本邦の推定罹患者数(40歳以上)は約500万人とされていますが、実際に治療を受けている患者は約38万人にとどまり、大半が未診断のまま残されていると考えられています。
※ COPDは「健康日本21(第三次)」の対象疾患に認定されており、早期発見・早期介入に向けた取り組みが進められています。
年齢階級別の有病率
COPDは加齢とともに増加する疾患です。40歳以上を対象とした調査では、年齢が上がるにつれて有病率が明確に高くなる傾向がみられます。
出典:NICE Study(Fukuchi Y, et al. Respirology 2004)
超高齢社会である本邦では70歳以上の約17%が罹患しているとされ、高齢化に伴って患者数はさらに増加すると見込まれています。専門医だけでなく、非専門医による早期発見・早期治療への呼びかけが重要とされています。
診断
COPDの診断には、呼吸機能検査(スパイロメトリー)が用いられます。息を思い切り吐き出す検査で気流閉塞の程度を評価します。問診では喫煙歴や息切れ・咳・痰の状況も重要な情報になります。
また、胸部レントゲン・CTや呼気一酸化窒素検査などを行い、肺気腫の広がりや、似たような症状が起こる病気(肺がん・気管支喘息など)がないかも確認します。
治療
COPDの治療は、まず禁煙が基本となります。喫煙を続けたまま薬物治療だけを行っても、病気の進行を十分に抑えることはできません。
薬物治療の中心は、気管支拡張薬(LAMA・LABA吸入薬)です。狭くなった気道を広げ、息切れなどの症状を軽くします。単剤で効果が不十分な場合や増悪を繰り返す場合は2剤を併用し、喘息の特徴を併せ持つ方や増悪を繰り返す方では、吸入ステロイド薬(ICS)を追加した3剤併用も検討します。それでもコントロールが難しい重症の方には、抗体製剤やマクロライド系抗菌薬の追加を検討することもあります。
薬物治療に加えて、インフルエンザ・肺炎球菌ワクチンなどの感染予防や、さらに進行した場合には在宅酸素などにって症状の安定をはかります。
合併症・併存症にも注意が必要です
COPDは肺だけの病気ではなく、全身に影響を及ぼす炎症性疾患としての側面も持っています。肺に限局した合併症と、肺以外に及ぶ全身併存症の双方が、増悪の頻度や生活の質、予後に大きく関わることが分かっており、それぞれの管理を並行して行うことが大切です。
肺合併症
- 肺がん(非COPD喫煙者と比べてリスクが高いとされます)
- 気管支拡張症
- 喘息合併(ACO)
- 気腫合併肺線維症(CPFE)・肺高血圧症
- 肺炎・肺炎球菌感染
- 気胸(特に重症の肺気腫)
全身併存症
- 心血管疾患(虚血性心疾患・心不全)
- 骨粗鬆症
- フレイル・サルコペニア
- 糖尿病・メタボリックシンドローム
- 不安・抑うつ
- 胃食道逆流症(GERD)
- 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)・貧血
肺合併症・全身併存症の管理も、COPD治療と同時に行っていく必要があります。
息切れや長引く咳がある方は、お早めにご相談ください
COPDは軽症のうちは自覚症状に乏しく、見過ごされやすい病気です。呼吸機能検査による早期発見が重要です。
